酸化チタン(二酸化チタン)

酸化チタンとは

酸化チタンは、化学式TiO₂で表される白色の無機化合物で、二酸化チタンとも呼ばれます。
白色度や光の散乱性に優れた原料として知られ、塗料や樹脂などの白色顔料のほか、陶磁器、タイル、釉薬、セラミックス、無機顔料など、幅広い分野で使用されています。
窯業分野では、釉薬の乳濁や色調の調整、結晶の生成、マット調の表現などを目的として配合されます。配合する釉薬の組成、添加量、焼成温度、焼成時間などによって、仕上がりが変化する原料です。

酸化チタンの主な特徴

釉薬の乳濁・不透明化

酸化チタンは光を散乱させる性質を持ち、釉薬の乳濁や不透明感の調整に使用されます。
ただし、酸化チタンを配合すれば必ず純白になるわけではありません。基礎釉の組成や焼成条件によっては、白色、乳白色、クリーム色、黄色がかった色調など、異なる外観になることがあります。

結晶の生成を促す働き

酸化チタンは、釉薬中で結晶の生成を促す核形成剤として働くことがあります。
結晶釉、マット釉、変化釉などに使用され、釉面に結晶模様や濃淡、斑紋などの表情を生じさせる目的で配合されることがあります。

釉調・色調への影響

酸化チタンは、釉薬に含まれる鉄、コバルト、銅などの着色成分や、カルシウム、亜鉛などの基礎成分と反応し、発色や釉調に影響を与えることがあります。
同じ酸化チタンを使用した場合でも、基礎釉の組成、添加量、焼成温度、焼成時間、冷却条件によって仕上がりが異なるため、事前の試験焼成が重要です。

陶磁器・タイル・釉薬での用途

タイル用釉薬

タイル用釉薬では、乳濁、不透明感、色調の調整、結晶の生成などを目的として酸化チタンが使用されます。
壁タイル、床タイル、装飾タイルなど、求める色調や表面状態に応じて、基礎釉との組み合わせや配合量を調整します。

食器・陶磁器用釉薬

食器や陶磁器用の釉薬では、乳白色、クリーム色、マット調、結晶調などの釉調を表現するために使用されます。
釉薬の組成や焼成条件によって色調や結晶の状態が変化するため、使用する素地や焼成温度に合わせた選定が必要です。

結晶釉・マット釉・変化釉

酸化チタンは、釉薬中の結晶生成を促す原料として、結晶釉、マット釉、変化釉などに使用されます。
添加量や焼成後の冷却条件を調整することで、結晶模様、斑点、濃淡、流動感など、特徴のある釉面を表現できる場合があります。

無機顔料・セラミック顔料

酸化チタンは、無機顔料やセラミック顔料の原料として使用される場合があります。
他の金属酸化物と組み合わせて焼成することにより、顔料の色調や物性を調整する原料の一つとして用いられます。

ルチル型とアナターゼ型の違い

種類
主な特徴
主な用途
ルチル型
光の屈折率が高く、比較的安定性に優れる
白色顔料、塗料、樹脂、窯業原料など
アナターゼ型
ルチル型とは異なる結晶構造を持ち、加熱によってルチル型へ変化する場合がある
窯業原料、セラミックス、各種機能性材料など
酸化チタンには複数の結晶型があり、工業的には主にルチル型とアナターゼ型が使用されています。
釉薬中での働きは、結晶型だけで決まるものではありません。粒度、純度、表面処理、基礎釉の組成、焼成条件などによっても変化します。
使用目的や現在使用している銘柄などをご確認のうえ、適した製品を選定する必要があります。

酸化チタンと珪酸ジルコニウムの違い

酸化チタンと珪酸ジルコニウムは、いずれも釉薬の乳濁や不透明化に使用されることがありますが、釉薬中での働きや仕上がりは異なります。
原料
化学式
窯業分野での主な用途
酸化チタン
TiO₂
乳濁、不透明化、結晶生成、マット化、色調・釉調の調整
珪酸ジルコニウム
ZrSiO₄
釉薬の乳濁、白色化、不透明化
ジルコニア
ZrO₂
ファインセラミックス、耐火物、セラミック顔料など
珪酸ジルコニウムは、主に安定した乳濁・白色化を目的として使用されます。
一方、酸化チタンは乳濁だけでなく、結晶の生成や釉調、色調にも影響を与えるため、変化のある釉薬や結晶釉などにも使用されます。
使用する原料を変更する場合は、単純に同じ配合量で置き換えるのではなく、試験焼成による確認が必要です。

酸化チタンを選ぶ際の確認項目

使用用途

釉薬、陶磁器、タイル、無機顔料、セラミックスなど、使用する用途をご確認ください。
同じ酸化チタンでも、用途によって求められる純度、粒度、結晶型などが異なります。

希望する釉調・色調

乳白色、クリーム色、マット調、結晶調など、希望する仕上がりをご確認ください。
現物見本や現在使用している製品がある場合は、その情報も製品選定の参考になります。

基礎釉の組成

酸化チタンは、釉薬に含まれるカルシウム、亜鉛、鉄などの成分によって、発色や結晶の生成状態が変わることがあります。
可能な範囲で、使用している釉薬の種類や配合情報をご提示ください。

焼成条件

焼成温度、焼成時間、酸化焼成・還元焼成の別、冷却方法などをご確認ください。
酸化チタンを使用した釉薬は、焼成温度や冷却条件によって結晶の大きさや色調、光沢などが変化する場合があります。

粒度・化学成分

製品によって、粒度、TiO₂純度、結晶型、表面処理などが異なります。
現在使用している製品の銘柄、メーカー、仕様書などがある場合は、併せてお知らせください。

必要数量・荷姿

必要数量、希望する荷姿、使用時期などをご確認ください。
製品によって在庫状況、最小出荷数量、納期などが異なります。

永大化学の酸化チタン

永大化学株式会社では、陶磁器、タイル、釉薬、無機顔料などの窯業用途に使用される酸化チタンを取り扱っています。
ご使用の用途、焼成条件、希望する釉調、必要数量などを確認し、取扱製品の中からご案内します。
現在使用している酸化チタンの銘柄変更や、入手が難しくなった製品の代替原料についてもご相談ください。
※製品の適合性や焼成後の仕上がりを保証するものではありません。実際の使用前には、お客様にて試験焼成および品質確認をお願いします。

よくあるご質問

酸化チタンと二酸化チタンは同じものですか?

一般的には、どちらも化学式TiO₂で表される同じ化合物を指します。
製品名や業界によって「酸化チタン」「二酸化チタン」「チタニア」などの名称が使用されます。

酸化チタンは釉薬の白色化に使用できますか?

酸化チタンは、釉薬の乳濁や不透明化を目的として使用されることがあります。
ただし、基礎釉の組成や焼成条件によっては、純白ではなく、乳白色、クリーム色、黄色がかった色調やマット調になる場合があります。
安定した白色化を重視する場合は、珪酸ジルコニウムなど他の乳濁剤も含めて検討する必要があります。

酸化チタンを使用すると釉薬がマットになりますか?

配合量や釉薬の組成、焼成条件によっては、結晶の生成によってマット調になる場合があります。
少量の添加では光沢を残した変化釉となり、添加量や結晶の状態によっては、光沢が低下することもあります。

ルチル型とアナターゼ型では何が違いますか?

結晶構造や物性が異なります。
窯業用途では、結晶型だけでなく、粒度、純度、基礎釉の組成、焼成温度などによっても仕上がりが変化するため、用途に合わせた選定と試験焼成が必要です。

珪酸ジルコニウムと同じように使用できますか?

酸化チタンと珪酸ジルコニウムでは、釉薬中での働きが異なります。
単純に同じ配合量で置き換えることは難しく、白色度、色調、光沢、結晶の生成などが変化する可能性があります。
TOPへ戻る